サムシンググッド庵

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公的保育支援は親の権利か子供の権利か

はてなの匿名ダイアリー投稿に発した保育支援制度の議論では、次のような主張があるように思います。

 

・都内で夫婦で正社員に就いて結婚して子供を育てているという時点で十分に恵まれているのに、非正規の就業で結婚もできずにいる多くの人たちからの税収を、その恵まれた人たちに投入するのは、税の使途として合理的でないし公正でない

・必要とされる保育園を必要とされる場所に必要とされる数と規模で設けるべきで、他の使途に優先して税を投入すべきだ

・保育園に運よく入れた人たちは、保育園に関連して投入された税金のすべてを享受できるのに対して、保育園に運悪く入れなかった人たちは全く享受できないとなると、税の分配として合理的でないし公平でない

・保育園に入ることを希望する人たちに対して、それを満足するように保育園を拡充しても、潜在的な希望者をその行為によって掘り起こすことになり、いわば際限がなく、とてもそのような膨大な予算は投入できない

・保育園の不足は、地域の偏りの大きな問題であるので、希望者の地域の偏りの解消を誘導する政策こそが、合理的であり必要である

・保育支援のための税の投入は、保育園設置以外の形式で満たすことが合理的だ

・ある金額の保育支援クーポン(バウチャー)を税金によって一律に配布して、具体的な使途はそれぞれの人たちに任せるのが、分配としては公平であり、合理的である

 

いずれも一理あるように思われますが、どれも説得力に欠けるように思われる原因は、公的保育支援は親の権利か子供の権利か、という哲学の不在にあるのではないでしょうか。

将来成人する国民たる子供の権利の実現のためであれば、義務教育のための小学校と同様に、必ず設置するか代替手段を設ければならないはずです。

親の権利であって親が文化的な生活を実現するためのものであれば、成人たる国民である親が現在の自分の力で達成している生活に対して、公的な支援がさらにどの程度必要かを具体的に判断しなければならないことになるでしょう。

皆さんはどう考えますか。