サムシンググッド庵

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日本のチョコは偽チョコレート?:美味しければいいじゃないか?

先のブログ記事に対して、日本のチョコが偽物で、いわば「チョコ風味マーガリン」であっても、美味しければいいじゃないか、という趣旨の指摘を受けました。でも、それは違うと私は考えています。

 

例えば日本の伝統食品の豆腐を思い浮かべてみてください。(いろいろなバリエーションである変わり豆腐ではなくて、豆乳をにがりで固めてつくる、普通の豆腐でお願いしますね。)

もし、豆乳の使用量を減らして、薄めて、大豆由来成分が7%程度になってしまって、それでは固まらないからと、増粘多糖類やゼラチンを添加して、風味が足りないからと香料を添加して、食感のためにサラダオイルを添加して、豆腐によく似たゼリー状の食品ができたとします。値段も本物の豆腐の3分の1以下にできたとしましょう。

ひょっとしたら、そのゼリー状の食品は、思ったよりもずっと美味しいかも知れないし、味や値段を理由に、それを好んで買う人がいたって悪いということはありません。

でも、そのゼリー状の食品に、「豆腐」と表示されて、「豆腐」のコーナーに置かれて、「豆腐」として販売されていたとしたら、どうでしょうか。値段が3倍以上する本物の「豆腐」と、表示としては同一であったら、どうでしょうか。

成分表示を読んで、その違いを把握して、本物の豆腐を買いたいときには、本物の豆腐を買う、という人ばかりであれば、よいのですが、多くの人は、「豆腐」と表示されて、「豆腐」のコーナーに置かれて、「豆腐」として販売されていたら、本当はゼリー状の食品であったとしても、「豆腐」だと思って、値段が安くてよかったなと思いながら、買うでしょう。

そうすると、やがて本物の豆腐はあまり売れなくなり、販売店の棚から駆逐され、本物の豆腐をつくろうとするメーカーは、市場から退場せざるを得なくなるでしょう。本物の豆腐は、なかなか手に入らないものになりそうです。

一方で、安価な偽豆腐(ゼリー状の食品)を買う人は、それでも美味しいからハッピー、だと言えるのでしょうか。豆腐だと思っても、実は豆腐ではなくて「豆腐風味のゼリー状食品」ですから、大豆由来成分は少なく、大豆由来成分に期待する栄養や健康効果は、期待することができません。自分が買っているのは、豆腐ではなくて、「豆腐風味のゼリー状食品」である、とわかっていて買う人ばかりであれば、騙されている、とまでは言えないと思いますが、自分が買っているのは「豆腐」である、と思っている人は、端的に言って、騙されている、と言えます。

つまり、「豆腐」と表示することを許すのは、「豆腐」と言える食品に限るべきで、それが購入者の期待や「豆腐」の信用を守ることであり、伝統の食品文化を守ることになります。偽豆腐が「豆腐」と表示してあっても、美味しいからいいじゃないか、などというのは暴論です。

 

このたとえ話の偽豆腐の話は、日本の「チョコレート」の表示について、実はそのままあてはまります。

日本の店頭で、「チョコ風味マーガリン」が販売されていたとしても、それを安価であったり、美味しいからと言う理由で、買う人がいても何の問題もないと思いますが、その「チョコ風味マーガリン」と本物の「チョコレート」とが、同じく「チョコレート」と表示できる現状は、おかしいですね。(しかも、含有量表示の義務もないのです。)