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著作権侵害の非親告罪化の質疑の不思議/衆議院インターネット中継

衆議院インターネット中継で著作権侵害非親告罪化の質疑(TPP特別委員会2016年4月8日 (金)の「丸山穂高(おおさか維新の会)」議員の質問8:23:23付近から)を見たのですが、これだけ重大なことでもわずか3分間にも満たないやりとりなのですよね。

安倍総理の答弁が、同人誌などの二次創作が非親告罪化の対象とならない予定である、というものであったことを受けて、ネットでは安堵の声が広がっているようです。

しかし、このようなやりとりはどこか変です。

このようなやりとりは、本来は立法府たる国会で著作権法を改正する法律の質疑として行われるべきものであって、答弁が不十分であれば国民の代表である議員がその著作権法改正を成立させない、という手順となるべきものです。

ところが、今回のやりとりはそのような著作権法改正の質疑とはなっていませんし、安倍首相の答弁がもし不満足なものであっても、著作権法改正を認めない、という手順とはできないのです。

今回のやりとりでは、国家間(とロビー団体)による秘密会合によって合意されたTPP協定の内容を、あるときに突然に知らされた国民が、その合意された協定によると著作権法改正がどのようになるだろうか、と政権に教えを乞う状態となっています。その答弁が不満があったとしても、TPPの合意条項を今から変更することはできないので、ただただ一方的に伝えられるだけなのです。国際条約で決まったことですから、という立場で提出された著作権法改正であれば、その国際条約に反する修正はすることができない、ということになります。(TPP脱退という選択を除外すれば。)

つまり、各国の「上級国民」が参加する国家間の秘密会合によって合意された条約が国内法と国内立法手続きを超越した効力を持っていて、国民が選挙で選んだ代表が議会で議論して立法するという民主手続きを、形骸化してしまうものとなっているのです。